五個荘地区社協 深尾会長が語る「ごかしょうのふくし」

—–はじめに深尾会長のプロフィールをご紹介ください。

五個荘に生まれ、わんぱく坊主で育ちました。糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」という言葉に共鳴して、大学卒業後は県内の障害者福祉施設で働こうと思っていましたが、実家の事情もあって、地元の五個荘町役場に就職しました。

役所には定年まで38年間勤めましたが、そのうちに27年間は福祉保健関係の部署でした。印象深いのは、昭和56年に策定された「滋賀県社会福祉計画」の福祉圏構想により、当時の中部圏域「八日市・近江八幡・蒲生郡・神崎郡」の市町が共同して広域で福祉施設等の整備が進められました。福祉行政担当者として、地域療育事業「めだかの学校」や重症心身障害児通園施設の「くすの木」、知的障害者入所施設の「あかね寮」の設立、運営に携わったことでした。

—–特別養護老人ホーム清水苑が開設された平成6年当時は福祉保健課長をされていましたね。

当時の町長は保健医療、老人福祉施設の整備に関心を持たれていました。平成6年は日本の高齢化率が14%を超え「高齢社会」となった年です。高齢社会のなか、「町に特別養護老人ホーム(特養)を」という町長の願いもあり、社会福祉法人六心会の設立と特養清水苑の開設に行政の立場から関わらせていただきました。

 

—–五個荘町社会福祉協議会の事務局長もされていました。

平成の合併で市町村の合併協議が進んでいる時期であり、五個荘町も合併の方向性の議論が重ねられ、現在の市制誕生に向けた最終的な協議にもかかわりました。

平成15年4月に、老人福祉センターの所長を兼ねる形で五個荘町社会福祉協議会(町社協)の事務局長に出向しました。市町村が合併すると市町村社協も合併しなければならず、町社協の合併協議を進めました。

平成17年2月に五個荘町と八日市市、愛東町、湖東町、永源寺町の1市4町が合併して東近江市が誕生して、東近江市健康福祉部長付で東近江市社協の初代事務局長に就任しました。さらに、平成18年1月1日には、能登川町、蒲生町と合併して新・東近江市になり、東近江市社協も再度合併して、この年の3月まで新・市社協の事務局長を務めました。

 

—–地区社協の会長にはいつ就任されたのですか?

平成19年3月に東近江市役所を定年退職した後、平成22年3月まで市役所の再任用の嘱託職員として市民相談室長や新市観光協会事務局長の役目を終え、平成23年7月から地区社協の副会長、平成25年4月から会長を務めさせていただいてます。

 

—–地区社会福祉協議会の概要についてご紹介ください。

地区社協では、自治会での「福祉委員会」を核として「つどいの場・居場所づくり」の充実を図ることにより、共に語り合い、共に支え合い,誰もがもつ、できることを尊び「お互いさま」の輪を広げたていくことを目指しています。

そのためにも、地域における人と人との交わりを大切にした、つながりづくり、声の掛け合いで地域福祉のニーズの把握に努め、福祉委員、自治会役員、民生委員・児童委員と連絡を密にして、支援が必要な方に寄り添う「気づき」の見守り活動の展開を図り、支え合い活動の推進が必要です。

「だれもが人財 みんなで支えあうまち 五個荘」の第2次住民福祉活動計画の、「人づくり」「場づくり」「しくみづくり」「つながりづくり」を具現化していくため、住民やあらゆる団体と連携を深め、共に生きる喜びのある地域づくりの強化を図っていきたいと考えています。

「協働の場の創造」を目指す輪を広めてまいります。

 

—–今般のコロナウイルス感染拡大で地区社協の活動も影響を受けていると思います。どのようにお考えでしょうか?

本当に、気分的にもシンドイですね。コロナ禍で互いのつながりが分断されてしまった感じがします。だからこそ、身近な向こう三軒両隣、身近な場所で、つながり合いをどうすすめていくか。いろんな工夫した取り組みをどう生み出すか。「弱みを強み」に変えることができると思います。皆で知恵を出し合って、取り組みを共有し、生活のなかで生かしていける手立てを考えていきたいと思います。

また日本赤十字社が「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」と呼びかけがされています。即ち「ウイルに立ち向かうための行動」「不安に振り回されない力」「偏見や差別で信頼関係や社会のつながりを壊さない」の3つの感染対策をみんなが一つになって「負の連鎖」を断ち切り、更なる拡散をさせない取り組みを実践していきます。

—–五個荘地区の方々に一言メッセージをお願いします。

幸い私たちの地域は保健・医療・福祉の専門機関が拡充され、その専門性を社会的貢献として担い、発揮いただいています。

助ける人も助けられる人も、共に「かけがえのない」存在であり、人としての輝きをもつ命を生きているのです。困ったときには気兼ねなく「助けて」と言い合える、そんな地域づくりを皆さんと協働して進めていきたいと思います。

 

(聞き手・編集 六心会 地域支援担当 奥村 昭)