講に地蔵盆にトンボに集う~五個荘塚本町自治会

五個荘塚本町の塚本村地蔵堂には、聖徳太子が創ったとされる地蔵菩薩が祀られている。このお地蔵様は、五個荘地区6地蔵の1軀であり、信心すると「災難の来るときには、尊像より御汗を流し、救い給う」といわれている。(五個荘地区まちづくり協議会『わがまち一番』より)

塚本村地蔵堂では、行者講が営まれている。

塚本村地蔵堂

講に入っている人が、毎月6日に集まってお経をあげるのである。

以前は、一戸につき男性1名が講に入っていたという。

行者講には当番表が作成されていて、現在、男性26名が当番を回している。2人1組で当番をするのが10ヶ月あり、3人1組での当番は2ヶ月ある。

お経をあげる時間は、1月、2月、12月は19時30分から始まり、その他の月は20時から始まる。

当番は毎月6日の朝にお堂の掃除を行う。そして花と供物を供える。夜にお堂に集まりお経をあげるのである。集まってお経をあげるのは10名程度である。

お経をあげるだけではなく、男性同士のコミュニケーションの場となっており、月1回の男性サロン的な場になっている。

以前は毎年8月に白装束で大峰山に行者参りをしていたというが、今は行っていない。

民生委員・児童委員の奥 満男さんは、「文化継承という意味合いも込めてやっています」と話す。

一方、女性は「地蔵講」を作っている。「尼講」と言われ、奇数月の23日、地蔵の日に女性ばかりが集まってお経をあげる。行者講とは異なり、13時から15時までで、お経の導師は録音した音声が務める。

尼講で集い、いろいろな話題で盛り上がる。こちらは、2ヶ月に1回の女性サロン的な場になっている。

地蔵盆は毎年8月23日~24日の2日間行われていたが、近年はその日に近い土、日に行われる。初日の18時から20時頃までは、塚本町のスポーツ推進員8名が自治会館と地蔵堂周辺一帯で「納涼模擬店」を開催する。模擬店を出したり、イベントを行ったりして賑やかである。

ちなみに五個荘塚本町の自治会館は、近江商人の使用人の家(古民家)を移設したものである。いわゆる箱階段や蔵もあって(自治会の収納庫として使用)大変風情がある自治会館である。この風情も地蔵盆を演出するのである。

五個荘町塚本自治会館

五個荘塚本町自治会館内部~箱階段が現存している

塚本町自治会館内部

自治会館での取材の様子

そして、19時半から21時までは「尼講」の出番である。尼講の女性たちが御詠歌を奉じ、この間に町内の方々がお地蔵様にお参りをするのである。

2日目は、男性陣が19時半から御詠歌を奉じる。

塚本町では20年度ほど前に運動会を開催しなくなった。

地蔵堂に集まって開催する、地蔵盆と「納涼模擬店」は五個荘塚本町のみんなの交流を深める場となっている。

自治会館に張り出されている行事の様子を紹介するポスター

納涼模擬店の様子(ポスターより)

地蔵盆の地蔵堂の様子(ポスターより)

そして、五個荘塚本町で20年以上続くのが「トンボの集い」である。「トンボの集い」は75歳以上の方を会員とするサロンの一つである。

「トンボの集い」という名称は「とんぼのめがね」という童謡が起源になっている様である。

現在31名の会員がいて、6月、9月、3月の年3回開催する。「三方よしプラザ」を会場に、歌謡ショーや踊り、漫才などの余興を楽しみ、お昼ご飯を食べる。

自治会長、福祉推進委員会、自治会の女性ボランティア6~7人がスタッフとなって運営する。一時期は、隣の五個荘石川町と合同で開催していたが、今は、単独開催となっている。

今年はコロナ禍で9月20日に予定していた「トンボの集い」は中止となった。スタッフが3班に分かれて31名の会員に自治会からのお菓子と市のお祝いのお饅頭をもって訪問した。

民生委員・児童委員の奥さんは「訪問すると喜んでお話をしてくれます」と話す。

「トンボの集い」も、参加してほしいと思っている人がなかなか参加してくれない。しかし、放っておかない。奥さんは「民生委員活動として見守りをしています。夕方には電気がついているかを確認したり、たまにのぞきに行ったりして声掛けをします」と話す。

自治会長の逸民(はやみ)秀朗さんは28年前に五個荘塚本町に移り住んだ。「前に暮らしていたところでは地蔵盆の行事はありませんでした。行者講や地蔵盆をみると塚本町の歴史を感じます。」と話す。そして「いろんな方が声をかけてくださいます」と話す。

奥さんは「塚本町に来てくれる人は良い人ばかりでありがたいです」と話す。

約70世帯、人口約230人の五個荘塚本町。最近新しい団地もできた。そして自治会に参加する若い世代が増えてきた。

祖先から受け継いだ文化継承の営みに、新たな世帯・世代が融合してさらに形を変えながらも継承されていく。

(聞き手:川嶋 重剛・成田 美樹・奥村 昭)

(報告:社会福祉法人六心会 地域支援担当 地域支え合い推進員 奥村 昭)