満水リレー

夏祭りや運動会といった、暮らし中で営まれてきた自治会のイベントがコロナ禍で相次いで中止となっている。

学校の運動会も、例年より短時間で、種目を限定して開催される方向にあると聞く。

そんななか、自治会や町内会の運動会で定番のプログラム「満水リレー」を、結神社を会場に開催している「第19回コミュニティ食堂てんびんの里みなみ」の「遊び」のプログラムでやってみた。

満水リレーのバトンの「お玉」は「フィルムキャップ」に替え、一人に一つずつ配布した。

ちなみにフィルムキャップは、東近江市社協に保管されていたものを持ってきていただいた。

子どもたちは初めて見るフィルムキャップが何だかわからない。「コーラのラムネが入っているやつ?」との声に、答えはリレーの後に発表することに。

水はバケツからではなく、明治16年に結神社に寄進された手水舎(ちょうずや)に注ぎ込む冷たい井戸水を汲む方法にアレンジした。

この日参加した子どもは8人。

普段より少ない。

さて、どうしようか。4対4でリレーしようか。

子どもたちに聞いてみた。すぐさま「子ども対大人」に決定した。

民生委員児童委員の奥井さんやきぬがさの吉川所長をはじめ、子ども食堂の大人スタッフ8人と子ども8人が整列した。

5分間1本勝負でスタート。

子どもも大人も小さなフィルムキャップをもって、手水舎から水をすくい、一升瓶に注ぎ込む。「スピード勝負」と一気に。「確実に」ゆっくりと。注ぎ方に子どもも大人も関係なかった。

 

そして終了。

民生委員児童委員の奥井さんが急遽「審判長」に。

「1ミリの差で大人の勝ち!」奥井さんの発表に子どもたちは悔しがり、大人たちははしゃぐ。

「もう1回やろう!」という子どもたちのリクエストに応え、今度はフィルムキャップを一人何個持ってもOKという方法に変え、3分間1本勝負でスタート。

フィルムキャップ2つを手にする子ども。4つ手にする大人。上手に水を注ぎ入れたり、ほとんどこぼれたり。子どもも大人も必死。そして3分間が経過。

「1ミリの差で子どもの勝ち!」という奥井審判長の発表に子どもたちは「やったー」と大喜び。

子どもチームと大人チームは仲良く1勝1敗。

そして、フィルムキャップの正解を発表。

そもそもフィルム式カメラを知らない世代。「知らな~い」と一蹴されて終わる。

「さあ手を洗おう」スタッフの声掛けで、手水舎で今度は手洗いと消毒。

昼間の暑さが和らいだ拝殿で、少し距離はとっても子どもも大人も同じ場所で、この日のメニューのピラフを美味しく頂いた。

時間にすればわずか8分の満水リレー。

けれど、8分間が生み出した空間は、自治会の運動会で醸し出されていた温かな一体感に包まれていた。

(社会福祉法人六心会 地域支援担当 奥村 昭)