コロナ禍では対面で集うことをついためらってしまう・・・。。新型コロナウィルス感染症拡大は、地域で集まることそのことまでも基準や判断を強いるようになってしまった。

隔月で開催していた「てんびん倶楽部」も3月は休会、迷いながら5月に再開、今年度第2回目の同会を先日（2020年7月28日）開催した。

今回のレポートは、前回の続き、当日の第２部の内容をお届けする。

第2部は行政からの施策報告で、東近江市役所子ども未来部子ども政策課の大内係長から「第2期東近江市子ども・子育て支援事業計画」の概要について話してもらった。

実は、過去31回のてんびん倶楽部で子どもや子育てのことを真正面に据えたテーマを設けるのは今回が初めて。東近江市では平成27年3月にこの計画の第1期計画を策定し、5年間の計画として推進しており、今年度は改定された第2期計画の1年目にあたる。

大内さんは「第1期計画で掲げた4つの基本目標「①子どもが自ら育つ力を育む教育・保育の環境づくり」、「②安心して産み健やかに育てられる環境づくり」、「③全ての子育て家庭を支援するネットワークづくり」、「④社会全体で子育てする環境づくり」は着実に成果をあげている」と話し、①に関して「認定こども園等の施設整備が推進され、待機児童数が平成31年4月の時点で16人になり19人減少」、②に関しては「ハピネス（東近江保健センター・子育て支援センター）が整備され、妊娠期から子育て期の一体的な相談支援と関係機関の連携体制強化がより進んだ」ことを紹介。

③に関しては、「『子育てコンシェルジェ』の配置や『見守りおむつ宅配便』によりおむつ代の負担軽減と児童虐待を予防する見守り・相談態勢が作られた」と報告。「見守りおむつ宅配便」は昨年度に一般社団法人日本子育て機構の「イクハク・ベスト育児制度賞」を受賞するなど先進的な取り組みとして全国の自治体の注目を集め視察が相次いだという。子育て支援施策で全国的に有名な明石市も東近江市をモデルにこの事業を開始している。

こうした成果を踏まえ「第2期計画においても4つの基本目標のもと、保育士等の人材確保をはじめとした20の重点事業を掲げ、令和7年度まで推進する」と大内さんは強調した。

この報告の後の質疑では、「見守りおむつ宅配便」などの優れた施策をもっとアピールすべきといった意見や、この事業は生協に委託されており、地域における見守り活動との連携という点で民生委員児童委員活動との連携の必要性が指摘された。

養護老人ホームきぬがさと六心会が地域の方々と共に取り組んでいる「コミュニティ食堂てんびんの里みなみ」（子ども食堂）については、市社協からは情報を得ているものの第2期計画とリンクはないとのことであった。ただ、子どもの居場所づくりや貧困対策など、有志の市民の厚意や想いで運営されていて、今後さらに数が増え、市の支援を求める声が増えていくと市として考える必要があるとのことであった。

第２次東近江市子ども・子育て支援事業計画

最後に、今回のてんびん倶楽部は、地区社協とまち協という地域を基盤とした団体の活動と子ども・子育て支援事業計画という行政施策をメンバーが共有するという、てんびん倶楽部らしい内容となった。

東近江市の「第4回『共に考え、共に創る』わがまち協働大賞」の「エピソード賞」を受賞した地域への出前講座はコロナ禍で実施できていないが、五個荘にこだわり、五個荘の福祉を高めていくための医療・福祉専門職のネットワークとしてのてんびん倶楽部の歩みを丁寧に地道に積み上げていきたいと思う。

（報告：社会福祉法人六心会　地域支援担当　地域支え合い推進員　奥村　昭）

第32回てんびん倶楽部参加者（敬称略）

【ゲスト】

東近江市子ども未来部こども政策課　課長補佐　小林　忠司さん

東近江市子ども未来部こども政策課　　　係長　大内　瑞夫さん