地域のタカラを探せ!・・・・コミュニティ・ソーシャル・ワーカーの視点

今年度、五個荘地区に関わる東近江市社会福祉協議会のソーシャルワーカーは中西さんと成田さんのお二人。新型コロナウィルス感染症の影響で地域活動にも多くの影響が出ているが、改めて二人のこれまでの歩みとこれからの抱負などを聞いた。

 

東近江市社会福祉協議会 地域福祉課 係長 中西さん(右)

東近江市社会福祉協議会 地域福祉課 主事 成田さん(左・五個荘地区担当)

 

—–まず、中西さんのプロフィールを紹介してください。

(中西)旧八日市市の上平木町で生まれ育ちました。高校生の時に就職か進学か悩んでいたところ、百歳を超える曽祖母ちゃんの姿を見ていて、「これからは福祉の時代や」と直感し、社会福祉学科に進学しました。

大学に進学して社会福祉の勉強をするうち、児童福祉に興味を持つようになりました。児童養護施設にも実習に行きました。大学4回生になり、子どもに関わるボランティアをしたいと思い八日市市社会福祉協議会(以下、市社協)を訪ねたら、同級生のお母さんが働いておられました。そこで市社協が児童館を運営していることを知り、児童館でバイトをさせていただくようになりました。

児童館でバイトをする中で、「お小遣いがもらえない」とか「お年玉は全部家のお金になる」といった、今でいう「子どもの貧困」状態にある子どもたちの話を聞く中で、「自分に何ができるのか」と考えるようになりました。そして、「地域で子育て」という言葉の意味を考えるなかで、地域福祉をすすめるという市社協の仕事に大きな魅力を感じました。

けれど、当時、八日市市社協の職員採用はなかったので、滋賀県内の市町村社協に片っ端から電話をして「募集はないか」と尋ねました。その時に1か所だけ臨時職員の募集があったので、その社協の臨時職員となり数年間働きました。そして、市町村社協合併により東近江市となった後、平成18年に職員募集がありました。「地元のために働きたい」とずっと思っていたので、試験を受けて、なんとか採用されました。

 

—–中西さんは最初の頃は市社協でどんなお仕事をされていたのですか。

(中西)就職して、東近江市社協の本所(地域福祉課)、相談支援課を経て4年後に永源寺地区の担当になりました。永源寺地区は3年間担当しましたが、その時に自分の実践エリアができたことが大きかったと思います。3年間で永源寺の色んな人達と出会い、「人つながり」でつながっていくことができ、永源寺の地域づくりに関わらせてもらうことができました。永源寺は今の自分の仕事の原点となる地区だと今でも感謝しています。

—–では、次に成田さんのプロフィールをご紹介ください。

(成田)日野町に生まれ日野町で育ちました。高校生の頃、日野町で子ども達のキャンプリーダーをしていて、その指導をしてくださる日野町役場の職員さんの姿に憧れ、その職員さんとお同じ大学に進学し、社会福祉を学びました。

ちょうど進学した年が、「ウインドウズ95」が発売されたときで、大学の地域福祉コースでは、「地域情報化研究会」で、ITを使い、地域の皆さんをつなぐプロジェクトに取り組んでいました。

—–大学卒業後は、どんなお仕事をされたのですか。

(成田)大学でのプロジェクトの経験を活かせると思い、印刷、出版を行う滋賀県内の企業に就職しました。

その後、出産して子育てをするなかで、「保育士になりたい」と思うようになりました。そこで、子育てをしながら通信教育で勉強し、保育士と幼稚園教諭の資格を取得しました。

そして、保育士として再就職して、保育所で障がい児保育を経験するなかで、障がい児保育を極めたいと思うようになり、東近江市の発達支援センターの療養保育士に転職しました。発達支援センターには4年間勤めました。

—–発達支援センターから、市社協に転職されたのはなぜですか。

(成田)障がいのある子どもが年長になったときに、小学校の選択がでてきます。その子のこれからの長い人生のなかで大きな選択になります。しかし、どんな選択であろうと、地域の中でどう過ごすか、地域の中でどうつながるかということが、その子の人生においてとても大切なことになると思っていました。そんななか、市社協からの職員募集があり、家も近かったので(笑)応募して、採用されました。

—–では中西さん、今、「第一層協議体」のコーディネーターをされているということですが、そのコーディネーターとはどんな役割なのですか。

(中西)平成27年に改正された介護保険制度で、支援や介護が必要になってもできるだけ最後まで暮らし続けられる体制を地域につくっていくために、生活支援体制整備事業がはじまりました。地域のさまざまな住民活動などを応援する「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)と「協議体」という仕組みが生まれました。協議体は第1層を東近江市域、第2層が各地区とエリア設定しています。第1層のコーディネーターは東近江市全域の住民活動を応援し、多様な人が支え合えるしくみづくりを進める役割です。

介護保険制度のサービスをはじめ、制度によるサービスだけでは地域のなかで自分らしく暮らしていけるわけではありません。地域の色んな人たちがつながって支え合う、支援が必要かどうかに関わらず人の暮らしを豊かにしていくのが第1層のコーディネーターの役割だと思っています。

—–成田さんは、市社協の五個荘地区担当ですが、その他にどんなお仕事をされていますか。

(成田)市全体の子ども食堂を応援する仕事です。他に市委託事業の障がい児のサマーホリデーや民生委員児童委員協議会の事務局を担当しています。新型コロナウイルスの感染拡大でサマーホリデーが中止となりました。何かサマーホリデーの代わりに子どもたちと地域の皆さんのつながりをもてないかと悩んでいます。

—–成田さんからは、「むすびえ」さんを通じて株式会社神戸物産さんから、子ども食堂の支援の情報提供をいただいたので、早速応募したところ、「コミュニティ食堂てんびんの里みなみ」に食べ物の容器やゼリーなどの寄付をいただくことができました。

コミュニティ食堂で提供したカレーライス

—–中西さんは五個荘地区をどんな地域と感じていますか。

(中西)心の熱い人が多いと思います。懇談会への出席率も高く、五個荘に誇りをもった、「五個荘愛」に溢れる人達が活動している地域だと感じています。

—–成田さんはどうですか。

(成田)中西係長と同じです。五個荘愛に溢れている人がたくさんいて、教えていただくことが多いです。

—–最後に、これからの抱負を教えて下さい。

(中西)今年度から六心会が事務局を担っていただき、第2層協議体としての役割も担う「五個荘地区住民福祉会議」が発足し、地区社協とまちづくり協議会、そして、地域住民や専門職の方々がつながり、まちづくりを進めて行く新たな場ができました。今、地域活動も大変な時期にありますが、だからこそ、五個荘への想いが詰まった人たちと一緒に、五個荘のよさを活かした地域づくりに関わっていきたいと思います。

(成田)五個荘地区で人と人との良い関係をたくさんつくっていきたいと思います。困りごとがあるときに、困っていることを発信できる地域に、その発信を受け止めることのできる地域づくりを住民の皆さんと一緒に作っていければと思います。

—–ありがとうございました。

左から、成田さん、奥村、中西さん

(聞き手・編集:社会福祉法人六心会 地域支援担当 奥村昭)