旗が上がった。
令和2年6月19日(金)
お昼すぎまで降っていた雨が止み、雲間から柔らかな太陽の光が降り注ぐ中、五個荘川並町の武須比神社の鳥居の横に「コミュニティ食堂てんびんの里みなみ」の旗が掲げられた。
コミュニティ食堂の再開である。
平成30年6月から月1回、 延べ18回にわたり「養護老人ホームきぬがさ」で開催してきた「コミュニティ食堂」は、昨冬のインフルエンザの流行と新型コロナウイルス感染拡大から、昨年12月から活動を休止していた。学校が休校となり、「お家で過ごそう」の掛け声のもと子どもたちの外出が制限され、街かどから子どもたちの姿が消えた。桜が散り、目に青葉が眩しい季節になったが、静かな「子どもの日」となってしまった。
「子どもたちはどうしているのだろうか……」コミュニティ食堂発足時からずっと関わってくださっている、民生委員児童委員が(奥井さん)が心配されているのと聞いた。
「このまま何もしないで放っておいてよいのだろうか……」
コミュニティ食堂にずっと関わってくださっている地区社協会長と話をし、「まず、集まろう」と「コミュニティ食堂てんびんの里みなみ運営コア会議」と名付けた会議を5月14日に開催した。この会議には地区社協会長、民生委員児童委員、市社協地区担当、養護老人ホームきぬがさ所長、そして六心会の理事長と地域支援担当2名の合計7名が清水苑に集まり、それぞれの想いを交換した。コミュニティ食堂を開きたい、子どもたちの笑顔を見たいという想いは皆同じであった。しかし、新型コロナウイルス感染を防ぐため、養護老人ホームきぬがさを会場にすることはできない。地元の川並町自治会館も当分の間、事業を中止している。
「屋外でできないか」というアイデアが出た。川並町には寺院がある神社がある、公園がある。この環境、社会資源を活かそう。定例の毎月第3金曜日、6月19日を再開の日としよう。皆の想いは一致した。
5月27日にさらに他の自治会の民生委員児童委員さんにも呼び掛けて、再開に向けた検討会議を開催した。
この会議までに、民生委員児童委員さんは、開催できそうな川並町の寺院や神社を調査してくださっていた。「結神社」で開催しよう。開催場所を決定するに時間はかからなかった。
その足で皆で結神社を下見に行った。清水苑から川並公園を抜けて結神社へ。川並公園で、小さな3人のお子さんとお母さんがいた。民生委員児童委員さんは「来月、結神社で子ども食堂を再開するよ」と声をかけられると、「楽しみにしています」と笑顔で答えてくださった。
6月に入り休校措置が解除された。学校が再開した。地区社協会長の計らいにより、メンバーで、五個荘小学校の校長先生にコミュニティ食堂の再開のお知らせに伺った。校長先生からは、感染予防対策について、学校での対応を踏まえた具体的なアドバイスをいただいた。民生委員児童委員さんは、結神社の神祭長さんに神社の使用許可を得てくださるとともに、正副自治会長さん、健康推進員さん、コミュニティ食堂に玉葱の寄付をしてくださっている川並ファームの方々等に食堂の再開をお知らせしてくださった。
地区社協会長は、安全に食堂開催ができるよう、地区社協のメンバーに運営協力を依頼してくださった。
そして入梅した。再開が近づく。天気予報はあまりよくない。前日はひどい雨降りとなった。
6月19日(金)17:00 旗が上がった。子ども28人、保護者4人が参加した。それを20人のスタッフが支えた。
みんな笑顔になった。
コミュニティ食堂の再開は、単なる再開ではない。「ウイズコロナ」といわれる時代の新たなスタート、新たなカタチなのかもしれない。
そして確信した。「ウイズコロナ」には地域のチカラが必要だ。五個荘には「旗を上げる」地域のチカラがある。
六心会 地域支援担当 奥村 昭
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